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月別アーカイブ: 2025年11月

用皆建材のよもやま話~雑学講座25~

皆さんこんにちは!
有限会社用皆建材、更新担当の中西です。

 

🔩 鉄骨造の解体:切断・ボルト外し・揚重計画 🏗️

 

鉄骨造(S造)の解体は、“つないでいるものをほどく”作業。
接合部は溶接・高力ボルト・リベットなど多様であり、
火気と高所という2大リスクを抱えながら、切断 → 吊り降ろし → 分別を順序立てて行います。

揚重では、荷重・重心・風の3点が命。
ここでは都市部の中規模S造を想定し、切断計画・防火養生・玉掛け・クレーン選定までを現場目線で解説します。🔥🧯


🔍 1. 接合の見極めと解体手順

1️⃣ 事前調査

  • 図面・現地で接合種別(溶接/ボルト)と柱脚形状(露出/埋込)を特定。

  • 特に溶接部は熱切断計画を要し、粉じん・火花の拡散経路も把握。

2️⃣ 仮設・養生

  • 先行足場、防炎シート、火花飛散防止板を設置。

  • 消火器・バケツ・水ホースを配置し、火気作業許可票を掲示。

3️⃣ ボルト外し・切断

  • 解体順序は梁 → 小梁 → デッキ → ブレース → 柱

  • 倒れ込み防止の“残しボルト”を計画し、解体進行方向を全員で共有。

4️⃣ 揚重作業

  • 玉掛け角度・荷重分散を確認し、重心マークを明示

  • 玉掛け者・合図者・オペレーターの三者で事前シミュレーションを実施。

5️⃣ 分別・搬出

  • 鉄骨、デッキ、スラブ(RC)、断熱材を区画線で分離。

  • 搬出動線を直線化し、4t車→10t車へのシャトル搬送も視野に。

💡 コツ:「最後の1本をどこに残すか」を全員で共有し、声掛け・合図をルール化。📣


🔥 2. 火気管理と防火養生

  • 火気作業許可書:日次発行。責任者・作業時間・場所を明記。

  • 防火養生:耐火シート+火花受け+下階の二重遮蔽。

  • 消火体制:粉末消火器を複数配置。退場時は「火の元確認2回」を徹底。

  • 防炎シートの点検:穴・劣化の確認を毎朝実施。

🔥 火気作業は「燃えない」ではなく、「燃えても被害を出さない」が原則。


🏗️ 3. 揚重計画とクレーン選定

  • アウトリガー設置条件
     → 道路占用許可・地耐力・暗渠位置を確認し、鉄板敷きで面圧を分散。

  • 機種選定
     → 一般的には25t〜50tラフテレーンクレーン
      旋回範囲・上空電線・建物間距離を確認してブーム長を設定。

  • 合図法
     → 手信号は統一、トランシーバー併用。
      合図者を固定し、誤認防止のため指差呼称を実施。

📡 クレーン作業は“指示より準備”。
一度吊ったら戻せない前提で、荷姿・重心・風速を読み切る。


🏙️ 4. 事例:S造3階・延床600㎡・市街地

  • 夜間火気禁止のビル管理規定により、昼間切断・夜間搬出で工程を分離。

  • **風速観測(風速計設置)**を導入し、瞬間風速10m/sで作業中止基準を明文化。

  • デッキ下の断熱材飛散に備え、湿潤化+袋詰めで飛散防止。

  • 電線・歩行者動線を常時監視し、誘導員を配置。

🧾 記録・測定・掲示を組み合わせ、
「安全・静音・クレームゼロ」の現場を実現。


⚠️ 5. よくあるミスと予防策

ミス 発生原因 予防策
ボルト残りの見落とし → 急な回転 確認不足 指差呼称+カラーチョークで“外し済み”明示
玉掛け角度過大 → 荷重集中 荷姿計画不足 2点吊→4点吊に切替、スリング長を見直す
火花の養生不足 → 下階焦げ 防火計画不足 不燃ボード+耐火シートで二重養生
クレーン旋回範囲の過小設定 計画未確認 旋回シミュレーションで可動域を確認

✨ 6. まとめ

鉄骨造の解体は、順序と合図の工事
火気・高所・揚重の三位一体を正しく管理すれば、安全・静音・高効率が両立します。

🧠 “切る”ではなく、“解く”という発想を。
一つひとつの接合を理解し、秩序立てて外すことが、鉄骨解体の本質です。

 

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用皆建材のよもやま話~雑学講座24~

皆さんこんにちは!
有限会社用皆建材、更新担当の中西です。

 

 

🧱 RC造(鉄筋コンクリート)解体:工法比較と機械選定 🚧

 

RC解体は、“壊す”ではなく壊し分ける技術です。
騒音・振動・粉じんという「三重管理」のもと、クラッシャー/ブレーカー/ワイヤーソーを状況に応じて使い分け、鉄筋分離と再資源化率の最大化を目指します。⚙️


🔧 1. 工法の選択肢と適用条件

工法 特徴 適用箇所 注意点
クラッシャー(圧砕) 騒音・振動は中程度。粉じんは散水で抑制可能。 梁・柱の圧砕 過剰圧で鉄筋が変形しないよう注意
ブレーカー(打撃) 能力が高く、厚肉構造も対応可。 床版・基礎 騒音・振動が大きく、学校・病院近隣は時間帯制限が必須
ワイヤーソー/コア抜き 静的切断で振動ほぼゼロ。 隣接建物・共用壁 コスト高だが近隣条件が厳しい現場で有効

💡 ポイント:
現場条件(距離・用途・構造厚・近隣環境)を基に、複数工法の併用設計が最も現実的です。


🔇 2. 養生と静音計画

  • 防音パネル+二重シートで遮音層を形成。

  • 開口部は負圧集じん機を設置し、粉じん拡散を根本的にブロック。

  • 散水ノズルを固定化し、連続的に粉じんを抑制。

  • 測定点は「敷地境界2点+出入口1点」を設定し、騒音・振動・粉じんのログを日次で掲示。📈

📋 「データで静かさを証明する」ことが、
近隣からの信頼とクレームゼロにつながります。


♻️ 3. 鉄筋分離と搬出設計

1️⃣ 圧砕 → 鉄筋露出 → グラップル回収 → 磁選 → ガラ分別
 → 一連の流れを止めないことで、作業効率と再資源化率を両立。

2️⃣ 仮置きヤードは区画線で分離
 → 木くず・金属・ガラ・石膏などを明確にゾーニング。

3️⃣ 搬出動線は直線化
 → 10t車が入れない場合、4tシャトル運搬を設計段階で組み込み。🚛

♻️ 鉄筋の磁選とガラの粒度管理が、“再資源化率90%超え”の鍵。


🏢 4. 事例:RC3階建(前面4m道路)

  • 切断+吊り降ろし方式で躯体をブロック化。

  • 1階に商業テナントが営業中のため、高音作業は早朝集中。

  • 鉄筋回収を徹底し、再資源化率95%を達成(社内KPI)。

  • 騒音・振動・粉じんはすべて基準値内、苦情ゼロ。

🧾 記録と測定の「見える化」で、
クレームゼロ×再資源化×工程短縮の三拍子を実現。


🎯 5. 安全と品質のKPI

管理項目 目標基準
災害発生 0件
近隣苦情 0件
騒音・振動 基準値内維持
再資源化率 90%以上
工程遵守率 100%

KPIは現場掲示板で「日次更新」
進捗を可視化することで、作業員の意識も高まります。
近隣へも公開することで「安心感」を醸成。📊


✨ 6. まとめ

RC解体は、「静かさ × 分別 × 記録」の競技。

  • 工法を混ぜて設計する“ハイブリッド戦略”

  • 測定とログで静音品質を見える化

  • 鉄筋・ガラを“資源”として扱う視点

🧠 “壊す”ではなく、“再生を前提に壊す”
それが現代のRC解体のプロフェッショナリズムです。

 

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用皆建材のよもやま話~雑学講座23~

皆さんこんにちは!
有限会社用皆建材、更新担当の中西です。

 

木造住宅の解体:養生・分別・近隣対策の勘所

 

木造解体は、解体案件の中でも最も件数が多く・近隣との距離が近い工種です。
「手壊し → 小型機 → 分別 → 搬出」という基本型を、粉じん・騒音の最小化安全の確保という観点で徹底解説します。


1. 基本フロー

1️⃣ 仮設足場・防音/防炎シート・散水設備の設置
 → 作業前に近隣への視覚・騒音・粉じん対策を完了。

2️⃣ 屋根材・建具・設備の手外しで軽量化
 → 重機負荷を減らし、解体の安全性を確保。

3️⃣ 小型バックホウ搬入、梁→柱→壁の順に分別解体
 → 重心を意識して構造を“崩さずに分ける”。

4️⃣ 材質ごとの仮置きゾーン(木・金属・ガラ・石膏)
 → 分別精度を高め、処分費を最適化。

5️⃣ 搬出・清掃・第三者目線での完了検査
 → 「見せる現場」で信頼を得る。


️ 2. 近隣対策の型

時間帯宣言
 高音作業は午前11時前後に集中。洗濯・休憩時間に配慮。

散水ログの記録
 開始/終了時刻・散水量を記録し、苦情時の根拠に。

通路清掃は1日3回(朝・昼・退場前)
 ほんのひと手間で「印象が一変」します。


‍♀️ 3. 安全の要点

  • 屋根上作業は親綱+フルハーネスを必須。

  • 重機周囲は立入禁止、誘導員を配置。

  • 釘・ガラスによる二次災害を防ぐため、保護具(長靴・防刃手袋・ゴーグル)を常備。

安全は“段取り”で確保するもの。
作業中の判断では遅い、が鉄則です。


♻️ 4. 分別と再資源化

木くず
含水率・釘残りに注意。釘外しの工夫で受け入れ先が変わります。

石膏ボード
可燃混入厳禁。破砕・飛散を抑え、パレット保管で搬出効率アップ。

金属
磁選・手選別で価値を最大限回収。リサイクル率UP!


️ 5. 10日スケジュール例(延床25坪・路地奥)

日数 作業内容
1日目 仮設足場・シート設置、掲示・近隣あいさつ
2〜3日目 手壊し(屋根材・建具・設備)
4〜6日目 小型機による本体解体、分別徹底
7〜8日目 基礎・土間撤去(静的破砕剤併用で振動抑制)
9日目 搬出集約・清掃・境界確認
10日目 整地・最終確認・写真引渡し

⚠️ 6. よくある失敗と回避策

失敗例 回避策
雨天で粉じん対策を怠る → 泥跳ね苦情 散水+通路養生を厚めに設定
仮置きスペース不足 → 混合化で処分費増 先に庭・駐車場を仮置きとして確保
搬出時間が通学時間と重複 学校カレンダーを反映した工程表を作成

✨ 7. まとめ

木造解体は「壊す技術」ではなく「気配りの技術」。

  • 養生と散水で静音・粉じんをコントロール

  • 分別精度でコストと環境負荷を最適化

  • 近隣との信頼関係が次の案件を呼ぶ

“見られている現場”こそ、良い現場。
静かで清潔、そして安全な現場づくりが、クレームゼロと信頼の第一歩です。

 

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